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交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1のダメなところ

先日「エウレカセブン ハイエボリューション1」を映画館で観てきました!
ついでに舞台挨拶も参加したのですが、こちらは特に書くことがないので割愛……

 

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▲三瓶さん、名塚さん、古谷さんのサイン入りパネルが展示されていました

 

今作は、アニメシリーズ「エウレカセブン」の総集編と謳いつつも

  • アニメシリーズ以前の出来事を描く新規パート(以下、新規パート)
  • アニメシリーズの序盤をまとめた総集編パート(以下、総集編パート)

の2部で構成された作品です。

新規パートでは主人公レントンの父、アドロック・サーストンエウレカを中心に、アニメシリーズでは詳細に語られなかった「サマーオブラブ」事件を描きます。

総集編パートでは、アニメでいうと第24話のレイ、チャールズの元を離れるところくらいまで話が進みます。

以下、若干ネタバレありの感想です〜 

 

良かった点

序盤30分の新規パートがめっちゃかっこいい

アニメシリーズでは描かれなかった「サマーオブラブ」そしてレントンの父「アドロック・サーストン」の活躍を描いた冒頭部分。LFOと抗体コーラリアンの戦闘が圧倒的な作画で描かれます。まだSOFに所属していた頃のホランド、デューイ兄弟がデビルフィッシュを駆る姿、まだ軍属のタルホやレイ、チャールズなど数々の登場人物の昔の姿を観ることができます。もちろん、今作のヒロイン、エウレカの昔の姿もバッチリ描かれています。

冒頭の新規パート部分は本当に文句がないです。強いて挙げるとすれば若干説明が少なくて不親切かも、という点くらいでしょうか。しかし、それ以上に作画のクオリティが高く、過去の登場人物の姿も描かれているので、アニメシリーズ視聴済みの僕にとっては大満足でした。

 

 

悪かった点

悪かった点は、上記の新規パート以外の全てです……

時間軸が行ったり来たりして、話の内容が掴めない

まず、演出にこだわりすぎて話の内容が全く掴めないです。総集編パートは基本的にレントンの独白形式で話が進行するのですが、時間軸が行ったり来たり。映画を見ている最中も「あれ、これっていつの話で前後関係はどうなっているんだ……?」となるので全く話が頭に入ってきません。

 

蛇足と思える設定変更

今回の劇場版ではではアニメシリーズから若干の設定変更が加えられています。例えば、

  • 姉のダイアンやアクセルが存在していない
  • サマーオブラブ直後からレイとチャールズの養子になっている(期間としては10年くらい)

など。

にもかかわらず、アニメシリーズと同じ映像を使用し、声だけ新しく収録し直したものを使用しているため、すでにアニメを見ている人は混乱してしまうこと間違いなし。個人的に一番納得がいかなかったのは、設定上はレイとチャールズの養子になって10年近く経つレントンに対し、チャールズの「パパ・ママと呼んでみないか?」という発言。この部分は矛盾とは行かないまでも、かなり不自然に映りました。単に制作側の考慮不足でしょうがw

この辺りを考慮すると総集編パートも新規カットで構成して欲しかったですね、予算の関係で難しかったのだとは思いますが。

 

エウレカとゲッコーステートメンバーの登場がほぼない

大きな不満がもうひとつ。

総集編内ではエウレカやゲッコーステートメンバーとの交流が全くと言って良いほど描かれていないです。

アニメシリーズにおけるエウレカセブンのメインテーマはエウレカやゲッコーステートメンバーとの日々を通じた「レントンの成長」だったと思います。

しかし、総集編ではレイ、チャールズとのやりとりにほどんどの時間が割かれ、エウレカとの関係やゲッコーステートでの経験などが一切描かれていませんでした。これではレントンに感情移入することができず、彼が白鳥号を離れるに至った経緯や理由、そして決断の重さが全くもって伝わってこないです。

総集編だから尺がないのはわかりますが、エウレカセブンの根幹部分を描かずしてどうする……という思いでいっぱいです。

 

 

総評

正直がっかり、期待はずれでした
新規パート:95点
総集編パート:50点

全体:60点

みたいな。

新規パートの出来が最高だっただけに、総集編パートもうちょっとがんばれなかったんか……

まず、演出を重視するあまり時系列をごちゃごちゃにしてしまったせいで、新規のお客さんはまず理解ができなかったでしょう。また、すでにアニメシリーズを視聴していたお客さんについても、現状は蛇足と思える設定変更のせいで内容についていくのは割と困難だったと思います。そうすると、この映画は一体誰向きの映画だったんだろう……?という純粋な疑問が浮かびます。

 

また、繰り返し言うようですが、エウレカセブンの一番面白い部分は「エウレカとの関係を通じた、レントンの成長」です。この部分なくしてエウレカセブンという作品の良さは一切伝わらないです。

しかし、今回の映画では「レントンエウレカを好き」という事実のみが語られ、具体的なエウレカとの関係性は一切描かれませんでした。その上、「レイとチャールズ出しとけば君ら感動するやろ?どや?w」と言わんばかりにレイとチャールズばかりが出てくる始末。設定変更も相まってレントンとレイ、チャールズの関係も非常に薄っぺらく映ってしまっていて、非常に残念でした。

 

仮に僕がこの映画を作り直すとしたら

  • 設定変更を加えず、すでにアニメを見た人にわかりやすいようにする
  • 無駄な演出を排除し、単純に時系列に追って物語を進行させることで、新規のお客さんにもわかりやすいようにする
  • レントンエウレカ、そしてゲッコーステートメンバーの絡みを中心に描く

こんな感じでしょうか。レイとチャールズのくだりに関しては、アニメと同じくらいの感動が生み出せないようであれば全てカットor次回作に回すのがベターかと思いました。

 

幸い、この映画のスタッフロールの後にあった次回予告は、アニメシリーズと大きく展開が異なることを予見させる内容だったので、ハイエボリューションの2作目も観に行くとは思いますが、今作の興行収入とBlu-rayの売り上げは相当キビシーだろうなこれ……